2023.03.17
医療機関では大量の文書を扱うため、文書の保管・検索・共有など、文書管理業務に課題を抱える医療機関が増えています。
「文書管理システム」は、文書管理のさまざまな課題の解決に効果的です。文書をデジタル化して一元管理することで、検索の効率化やペーパーレス化によるコスト削減につながります。一方、システムの運用体制の構築など、事前準備も欠かせません。
本記事では、文書管理システムのメリット・デメリットや、導入時に意識すべきポイント・注意点について解説します。
目次
「文書管理システム」とは、電子化した文書をデータベース化して一括管理できるシステムです。紙媒体の文書をデジタル化したうえで、保管・活用・廃棄など一連の作業がシステム上で行えます。必要な情報をすぐに取得できることや、セキュリティ対策やバージョン管理などの機能が充実していることが魅力です。
文書管理システムは、業種・業態を問わずさまざまな企業で活用されています。医療機関においても、書類の電子化で情報の取得・共有がスムーズに行えるようになるため、文書管理システム導入は業務効率化に最適と言えるでしょう。
文書管理システムには、一般的に以下のような機能が搭載されています。
紙媒体の文書をスキャナーなどで取り込んだり、各種情報の入力をスマートフォンやタブレットで直接行ったりすることで電子化し、サーバーに保存、システム上で管理できる機能です。取り込んだ文書は、件名や分類、インデックスなどを指定してシステムに登録します。このとき、文書番号の自動付与機能やエラーチェックなども利用できるので、登録時のミスを防げます。
システムによっては、紙の書類を読み取り、PDF化やテキストデータに変換する「OCR(光学文字認識)機能」も利用できるので、入力作業が不要でデジタル化した後の編集も容易です。これらの機能により、紙の書類を作成・保管する必要がなくなるため、院内文書のペーパーレス化を進められます。
システムに保存した文書データは、簡単に検索・閲覧できます。登録時に設定したキーワード・分類
検索条件にすべて合致するものだけ表示する「完全一致検索」や、一部が一致したものを表示する「あいまい検索」など、検索手段が多いシステムほど文書の検索が容易です。保管場所で紙の文書を探し出す必要がなくなるので、書類業務を大幅に効率化できます。
文書管理システムでは、ある1つの文書データを更新するたびにバージョン情報が残ります。古いバージョンへの復元もできるので、データ更新に不備やミスがあった場合でも安心です。また、文書に対して「誰がいつどんな操作をしたか」というログが記録されるので、内部統制の強化にも効果があります。
ワークフロー機能では、文書の確認や承認などの稟議をシステム上で行えます。紙の書類を回覧する必要がないため、確認・承認の迅速化・効率化が可能です。また、クラウド型の文書管理システムであれば、施設外からでもシステムにアクセスできるため、緊急の確認・承認が必要なときでもすぐに対応できます。
書類の暗号化やアクセス履歴の記録など、セキュリティ関連の機能です。ユーザーやファイル・フォルダごとにアクセス権限を設定できるので、閲覧制限を設けたい文書がある場合でも安心です。また、文書のダウンロードや印刷を制限する機能もあり、施設外へのデータ流出を防ぐこともできます。
医療機関で文書管理システムを導入するメリットとして、以下の3つのような点が挙げられます。
文書管理システムには文書データの検索機能があるため、必要な書類を探す手間を大幅に削減できます。紙媒体の書類の場合は、保管場所にある大量の文書の中から、必要なものを手作業で探し出さないといけません。一方、文書管理システムではすべての書類がシステム上で共有された状態になるため、キーワードなどを入力すれば必要な文書がすぐに見つかります。
医療機関においては、電子カルテシステムとの連携を図れば、カルテの一元管理ができるようになり、情報の参照・検索・共有が効率的にできるようになります。そのほか、診断書や通院証明書などの各種証明書類、入院申込書、手術説明書や同意書といった書類も一元管理が可能です。
文書管理システムを導入すれば、すべての文書データをシステムで一元管理できるため、文書管理のための場所・人員などのコストの削減につながります。また、文書の作成や共有も基本的にはシステム上で完結するため、紙・インク・プリンターなどのコストも減ります。こうしたペーパーレス化の実現により、院内文書の管理コストの大幅な削減が見込めるでしょう。
文書管理システムの導入により、文書のバージョン情報も管理できるようになります。閲覧時は常に最新版が表示されるので、誤って旧バージョンの書類を使用してしまう心配がありません。医療機関においては、古いファイルの使用は大きなトラブルにつながることがあります。文書管理システムは、書類関連のトラブルを未然に防ぐためにも効果的です。
文書管理システムを導入する際は、以下の3つの注意点・デメリットについて留意する必要があります。
文書管理システムを導入して業務効率化を図る場合は、システムを使用するすべてのスタッフがスムーズに使いこなせないといけません。導入したシステムを院内に定着させるためには、適切な教育が欠かせないため、教育・研修などのコストがかかります。
また、院内で文書管理システムをスムーズに運用できるようにするために、必要に応じて文書管理フローの見直しやシステムの運用ルールの策定なども発生します。このように、システムの運用体制の構築に手間とコストがかかることは、あらかじめ留意する必要があるでしょう。
文書管理システムを導入する際は、導入費用(イニシャルコスト)や運用費用(ランニングコスト)がかかります。そのため、コストに見合う導入効果が得られるかどうか、あらかじめ精査しておくことが重要です。
例えば、運用規模が大きい医療機関では、現状の紙の文書管理コストが高額であれば、デジタル化によってコスト以上の効果が得られるでしょう。一方、医療機関の規模が小さく工数・コスト面での課題が少ない場合は、十分なコストパフォーマンスが得られないかもしれません。
紙の文書を電子化する際は、スキャナーなどで文書を手作業で取り込む必要があります。書類が多い場合は、「デジタル化すべき文書」と「現状維持でも問題ない文書」を仕分けるなど、スムーズに移行するための事前準備が欠かせません。OCR(光学文字認識)機能があれば、文書をテキストデータに変換できるため情報の活用時に便利です。
なお、Web診療予約やオンライン問診票などの機能を持ったシステムを導入すれば、初めからデジタルデータでの情報入力・管理となるので、文書を取り込む作業自体が不要になります。
医療機関で文書管理システムを導入する際は、以下の2つのポイントを意識することが重要です。
文章管理システムの導入で失敗しないためには、医療機関にとって必要な機能が備わっているか確認することが大切です。適切なシステムを導入すれば、文書管理を最大限に効率化できます。
例えば、膨大な文書を保有する医療機関の場合は、検索機能が充実したシステムを選ぶと便利です。外出先からも文書にアクセスするケースが多いのであれば、マルチデバイス対応のシステムを選ぶと、スマートフォンやタブレットでも必要な情報が得られます。
アナログ手法での文書管理に慣れている人は、文書管理システム導入の必要性を感じていない可能性があります。そのため、デジタル化によって「院内と患者にどのような利便性があるのか」「負担をどれくらい減らせるか」など、システム導入で得られるメリットを関係者に理解してもらうことが重要です。システムに対する理解が深まれば、文書管理システムをスムーズに導入・運用しやすくなるでしょう。
なお、各ベンダーやメーカーの公式サイトでは、医療機関の導入事例記事を読めたり、システム資料をダウンロードできたりします。実例から具体的なメリットが分かるので、院内での合意形成に役立てられるでしょう。
文書管理システムを導入すると、書類の管理や検索にかかる手間とコストを大幅に削減できます。また、文書のアクセス・編集の履歴やアクセス制限もできるので、内部統制やセキュリティの強化にも役立ちます。
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