2023.03.17

病院の経営がうまくいかない理由とは?改善施策や経営戦略のポイント

病院の経営がうまくいかない理由とは?改善施策や経営戦略のポイント

近年、経営の赤字化に悩む病院が増えています。また、新型コロナウイルス感染症の流行は、多くの病院の経営状態に多大な影響を与えました。

基本的に、病院経営が赤字化する主な要因は、人件費や病床稼働率です。これらを改善することで、経営を黒字化できますが容易ではないケースも多いでしょう。そこで注目されているのが、医療向けデジタルシステムの導入です。

本記事では、病院経営が悪化する要因とその改善策について、厚生労働省のデータを交えて解説します。

病院経営の仕組み

病院経営における最も重要な要素は「利益」です。病院の売上となるのは「医療費」ですが、利益はその医療費から各種経費を差し引いたものになります。この点は一般企業と同じですが、病院の場合は売上金額、つまり医療費を自ら決定することはできません。なぜなら、診療報酬は国が定めているからです。

診療報酬の計算方法には、「出来高払い方式」と「DPC方式(包括支払い方式)」の2種類があります。出来高払い方式は、患者に診療行為を提供するたびに点数を積み上げて計算する仕組みです。一方のDPC制度は、手術・麻酔・リハビリなどは出来高払い方式ですが、入院治療に関する厚生労働省が定めた費用については定額とする仕組みです。

病院の経営が厳しく(赤字に)なってしまう主な原因

病院の経営が厳しくなってしまう原因として、主に以下の4つが挙げられます。

  • 人件費がかかりすぎている
  • 病床稼働率が低い
  • 新型コロナウイルス感染症の流行の影響
  • 経営改善を行いにくい構造

人件費がかかりすぎている

病院の売上高に対して、人件費の比率が高すぎると経営が厳しくなるリスクが高まります。厚生労働省が発表した「病院経営管理指標に関する調査研究結果」によると、一般病院の人件費比率は平均54%となっています。

引用元:「病院経営管理指標に関する調査研究結果(平成28年度病院経営管理指標データからみた病院経営の概況)」(厚生労働省)

人件費比率が60%を超えると、病院の経営が厳しくなり始めると考えられています。なぜなら、病院の経費の比率はおおむね決まっているからです。基本的には、医薬品や各種委託費・諸経費などの合計比率が40~45%前後になることが多いため、残りの55~60%程度が人件費の上限となります。

病床稼働率が低い

「病床稼働率(病床利用率)」の低さも、赤字につながる大きな要因です。病床稼働率は、病院内の病床が使用されている割合を指し、基本的には病床稼働率が高いほど利益は多くなります。

厚生労働省の「医療施設(動態)調査・病院報告の概況」によると、2021年の病床稼働率の平均値は76.1%で、年々低下しつつあります。病院の規模や診療科によって異なりますが、病床稼働率の損益分岐点は80%前後だと考えられているため、病床稼働率の課題を抱えている病院は比較的多いと言えるでしょう。

新型コロナウイルス感染症の流行の影響

新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で多くの病院が赤字経営となりました。感染を避けるために患者が受診を控えたことや、感染拡大防止の措置として病院側が受診数の抑制・入院の延期・手術の延期などを行ったことなどが理由です。

独立行政法人福祉医療機構が発表した「2020年度(令和2年度)病院・診療所の経営状況(速報)」によると、経常赤字の病院は2019年度の時点で43.4%と高い水準でしたが、2020年度には63.6%に急上昇しました(※コロナ患者の受け入れを実施した一般病院)。新型コロナウイルスに限らず、感染症の大規模流行が発生したときは、病院が赤字経営になるリスクが高まると言えるでしょう。

参考:独立行政法人福祉医療機構 2020年度(令和2年度)病院・診療所の経営状況(速報)

経営改善を行いにくい構造

規模の大きな医療機関では、経営陣と医療提供者が異なることが主な理由で、経営改善を行いにくい傾向があります。そのため、医療をとりまく環境の変化に対応できず、慢性的な赤字となるケースも珍しくありません。自院の強みを見直したうえで、医療政策の方向性や近隣地域のニーズを把握し、適切な経営改善を行うことが重要です。

参考:厚生労働省 医療施設の経営改善に関する調査研究

病院経営を成功させるポイント

病院経営を成功させるために意識すべきポイントとして、以下の3つが挙げられます。

  • 患者からの信頼を得る
  • 患者を集める施策を行う
  • 経営理念を明確化してスタッフと共有する

患者からの信頼を得る

患者からの信頼を得ることは、病院経営の成功に欠かせません。適切な医療の提供はもちろん、患者への丁寧な対応を心がけることや、Web診療予約システムの導入で待ち時間を短縮することなどが、信頼の醸成に効果的です。

また、患者が求めるニーズに答えるために、地域住民の年齢層や生活習慣などを分析し、適切な医療サービスを提供することも重要です。患者からの信頼を獲得すれば、患者をリピート化することや、口コミで新たな患者を紹介してもらえるでしょう。

患者を集める施策を行う

患者を集めるための施策を行うことも大切です。近年では、インターネットで情報収集をして病院を選ぶ患者が増えたこともあり、医療機関の情報を発信するサイトやSNSなどによる集患が効果的です。

例えば、SNSに自院の情報を掲載すると、多くの人に自院の存在をアピールできます。近くに住んでいる人がSNSの投稿を見れば、自院への関心を高めて来院につながります。健康管理や疾病予防など、患者の役に立つ情報を医療機関の公式サイトに掲載する方法もあるので、自院に合う方法で集患しましょう。

経営理念を明確化してスタッフと共有する

病院の経営方針や理念を明確化するのもポイントの一つです。ここが定まっていなければ、さまざまな施策を行っていく際に、方向性を見失ってしまう可能性があります。はっきりした方向性を示すことで、取り組みに課題が出てきたときでも解決しやすくなるでしょう。

また、施策の成功には経営陣とスタッフが一体となる必要があるので、経営理念を院内全体に共有することも重要です。

病院の経営改善の進め方

病院の経営改善の進め方について、以下の5つの観点から解説します。

  • 収益悪化の要因を突き止める
  • 患者数減少が原因の場合は、満足度向上と集患施策を行う
  • 固定費が要因の場合は削減する
  • 変動費が原因の場合は削減する
  • 経営改善を行う際は、病院向けのシステム導入もおすすめ

収益悪化の要因を突き止める

まずは、収益が悪化した要因を突き止めましょう。赤字経営になっている病院は、自院の実態を正確に把握できていないことが少なくありません。より効果的な改善策を打つためにも、客観的な目線で病院の現状を調査して、課題を洗い出すことが重要です。例えば、「患者数が減少している」「人件費比率が高い」などが、収益悪化の一般的な原因です。

患者数減少が原因の場合は、満足度向上と集患施策を行う

経営が赤字になる原因が「患者数減少」である場合は、患者の満足度を高めるための施策や、集患のための施策を行う必要があります。適切な医療の提供と、患者への丁寧な対応を徹底することで、顧客をリピーター化できます。前述したように、公式サイトやSNSなどを活用して、患者に自院の存在や魅力をアピールすることも重要です。

固定費が要因の場合は削減する

「固定費」が赤字の要因である場合は、その削減をできないか検討しましょう。基本的には、削減できる可能性があるのは「人件費」と「広告宣伝費」の2つです。

人件費については、前述したように売上高の60%程度に抑える必要があります。人件費カットの基本は人員削減ですが、単純に削減しただけでは1人あたりの業務負荷が増大します。そのため、後述する「デジタルシステム」の導入が効果的です。広告宣伝費は、公式サイトやSNSによる集患施策の移行も方法の一つでしょう。

変動費が原因の場合は削減する

「変動費」の増大が原因の場合は、その削減を検討しましょう。主に削減できる可能性がある変動費は「医薬品」と「診療材料費」の2つです。例えば、仕入れルートを再検討して調達コストを抑えることや、外注単価を引き下げるなどの対策が考えられるでしょう。また、物品発注と在庫管理の適正化により、変動費を削減することも可能です。

経営改善を行う際は、病院向けのシステム導入もおすすめ

病院の経営改善を行うときは、医療機関向けの「デジタルシステム」導入が効果的です。医療業務をデジタル化することで業務効率化が図れます。例えば、「電子カルテ」や「Web診療予約システム」を導入すれば、カルテ転記作業や診療受付の予約管理などの事務作業の削減につながります。

デジタルシステムの導入にはコストがかかりますが、中長期的な観点で見ると、コストパフォーマンスの高さが魅力的です。深刻化する人手不足にも対応できるため、これからの時代は院内業務のデジタル化は必須と言えるでしょう。

病院の経営改善には院内業務改善システム『ARTERIA』が有効!

病院の経営が赤字化する主な要因は、人件費の比率が高すぎることや、病床稼働率が低いことです。経営改善のためには、適切な医療・サービスの提供による患者満足度の向上や、インターネットを活用した集患施策が効果的です。人件費の高騰や業務効率が課題となっている場合は、「医療システム」導入により、人的リソースの削減が見込めるでしょう。

病院の経営改善でお悩みの場合は、大病院向け業務効率化システム『ARTERIA』(アルテリア)の導入がお勧めです。ARTERIAなら国内全ての電子カルテと連携可能であり、院内文書のペーパーレス化問診システムWeb予約などの機能を備えています。

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