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2023.09.07

【医療機関向け】電子同意書(医療同意書)の導入ポイントとデータ連携メリット

【医療機関向け】電子同意書(医療同意書)の導入ポイントとデータ連携メリット

医療現場ではさまざまな「同意書」(医療同意書)を取り扱います。従来は紙の同意書を利用するのが一般的でしたが、これを電子化することにより、医療従事者の業務負担軽減やコスト削減などにつながります。

本記事では、病院・医療機関で「電子同意書」を導入する際のポイントや、院内システムと連携するメリットなどについて解説します。

そもそも医療現場における「同意書」とは?

病院・医療機関における「同意書」とは、医療従事者が医療行為を提供することに対し、患者が同意したことを示すためのものです。

治療や手術などの医療行為では、患者への身体的侵襲(生体侵襲)、つまり外部・内部的な刺激が患者に与えられます。それと同時に、医療行為には大なり小なりリスクが伴います。そのため、医療行為の内容やリスクについての説明に患者が同意し、その点について患者が損害賠償請求権を放棄するという法的意味合いを持っているとされます。

なお、病院・医療機関における「同意書」は、法令によって明確に定められたものではありません。各病院・各医療機関が独自にガイドラインを定め、例えば、患者への説明方法や同意者の条件などは、それぞれの規定や関連法令の解釈に従って各病院・各医療機関が策定するものになります。

同意書は「インフォームドコンセント」の証明

病院・医療機関における同意書は「インフォームドコンセント」が行われたことの証明にもなります。その関係性について簡単に見てみましょう。

インフォームドコンセントの役割

インフォームドコンセントとは、医療行為を受ける患者が、医師や看護師から十分な説明を受け、納得した上でその医療行為に同意することです。また、関係する医療従事者などと患者・患者の家族が、症状や治療方針についての情報共有を十分に行い、合意形成を経たというプロセスの結果を表すものと言えます。

インフォームドコンセントに関わる法的根拠

一般的に、インフォームドコンセントが求められる根拠として、以下のような法令や通達が挙げられます。

・医療法第1条の4第2項
「医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない。」

出典:医療法

・診療情報の提供等に関する指針の策定について〔医師法〕(厚生労働省通達)
「診療記録の開示も含めた診療情報の提供については、患者と医療従事者とのより良い信頼関係の構築、情報の共有化による医療の質の向上、医療の透明性の確保、患者の自己決定権、患者の知る権利の観点などから積極的に推進することが求められてきたところである。」(中略)「患者と医療従事者が診療情報を共有し、患者の自己決定権を重視するインフォームド・コンセントの理念に基づく医療を推進するため、患者に診療情報を積極的に提供するとともに、患者の求めに応じて原則として診療記録を開示すべきであるという基本的な考え方の下に、」(後略)

この通達にある「患者の自己決定権」は憲法13条の幸福追求権に基づくもので、「患者の自己決定権の実現を保障するために医師に説明義務がある」と解釈されています。

出典:・診療情報の提供等に関する指針の策定について〔医師法〕(◆平成15年09月12日医政発第912001号)

インフォームドコンセントと同意書の関係

同意書がインフォームドコンセントの証明になることは冒頭で触れた通りですが、書面にするかどうかや、同意書の記載内容や方法までが詳細に規定されているわけではありません。

しかし、一般論としては、インフォームドコンセントの内容を同意書で明文化することで、患者の同意を証明することが法的には可能とされています。また、同意書はあくまで医療行為やリスクへの同意を示すものであって、万が一、医療過誤などが発生した場合に一切の責任がなくなるわけではありません。

※法律上のインフォームドコンセントや同意書について、ここでは一般的な情報に基づき解説していますのでご了承ください。詳細な解釈については、判例や専門家による情報をご確認ください。

普及が進む「電子同意書」とは?

IT技術の進化・普及に伴い、医療現場でも従来の紙の同意書をデジタル化した「電子同意書」の普及が進んでいます。電子同意書といっても、基本的な記載内容は、医師が提供する医療行為の内容やリスクなどが明記されたもので従来の紙の同意書と同じです。

異なる点は、電子同意書では、内容の提示や患者のサインをタブレットなどのデジタル端末で行います。つまり厳密な意味での電子同意書は、同意書自体が初めからデジタル化されていて、患者はそこにデジタルサインをする仕組みです。患者がサインした紙の同意書をスキャンしてデジタル化する方法もありますが、別の仕組みとして理解する必要があります。

なお、デジタル文書はPDFファイルなどが利用されますが、そのままではコピーや改ざんが可能なため、これを防ぐための仕組みが欠かせません。電子同意書に対応したITシステムには、通常、改ざん防止のための機能が備わっています。

病院・医療機関に「電子同意書」を導入するメリット

ここからは、病院・医療機関に「電子同意書」を導入するメリットについて、以下の観点から見ていきましょう。

  • 医療従事者の業務負荷を減らせる
  • ペーパレス化でコストを削減できる
  • 情報共有の円滑化が図れる
  • 他システムとのデータ連携ができる

医療従事者の業務負荷を減らせる

紙の同意書は印刷・スキャン・保管などに手間がかかるため、スタッフのリソースを圧迫することがあります。例えば、過去の同意書を探す場合、紙の場合は保管してあるキャビネットから探し出して取り出す必要がありますが、デジタルデータであればパソコン画面で検索してすぐに抽出することが可能です。同意書を電子化することで、業務にかかる時間が削減されます。

ペーパレス化でコストを削減できる

紙の同意書を運用する際には、印刷用紙やインク以外にも、保管スペース確保などのコストが発生します。同意書は長期間の保管が求められるため、患者数が多ければそれだけ広い保管スペースが必要となります。

一方、同意書を電子化すると、同意書の作成から管理まで一貫してデジタルで完結します。大量の用紙印刷や保管スペースが不要となり、大幅なコスト削減が期待できます。

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情報共有の円滑化が図れる

電子同意書の導入により、患者の同意内容やサインなどがデジタルデータとして管理できるようになります。電子カルテシステムやWeb問診システムなど他の院内システムと連携すれば、患者の情報をデジタルデータで一元管理できるので、照会や更新も手間なく行え、院内での情報共有の円滑化が図られます。

電子カルテなど他システムとのデータ連携ができる

電子同意書は、電子カルテシステムや医事会計システムなど、他の医療システムとデータを連携させることができます。例えば、電子同意書を電子カルテと連携させることで、患者の同意内容もまとめてデジタル管理できるようになります。

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院内業務効率化は患者の負担軽減にもつながる

紙の書類の確認やサイン、押印などを負担に感じる患者は少なくありません。電子同意書なら、タブレット端末などで患者が同意書を確認でき、システムによっては文字の拡大・縮小も可能なので視認性も高いのがデジタルの利点です。サインは画面上でペンと同じ感覚でできるため、デジタルが苦手な高齢患者でも直感的に操作できます。

このように、電子同意書の導入による効果は、院内業務効率化だけでなく来院患者の満足度向上にもつながります。病院・医療機関が抱える経営課題を解消するために、医療業務のデジタル化は大きな役割を果たす可能性があるといえるでしょう。

■関連記事
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電子同意書の作成・締結時に意識すべきポイント

ここからは、電子同意書の作成・締結時に意識すべきポイントについて、以下の観点に分けて解説します。基本的に紙の同意書の場合と同様ですが、改めて整理してみましょう。

  • 患者への説明内容を明確化する
  • 医療行為の危険性も説明する
  • 説明する時期や場所を配慮する
  • 患者が理解できるように説明する

患者への説明内容を明確化する

電子同意書を作成する際は、患者に説明する内容の明確化が不可欠です。基本的には以下のような内容について説明することで、患者の理解を深めることができると考えられます。

<電子同意書の記載項目例>

  • 患者の健康状態や病状
  • 医療行為の内容や有効性
  • 想定されるリスクや合併症
  • 代替となる治療方法の利点と欠点
  • 医療行為を行わないことによるリスク
  • セカンドオピニオンの権利
  • 同意しない権利と撤回できる権利
  • 診療上必要だと考えられるその他の情報

これらの内容について丁寧に説明することで、治療方針に関する理解が促進され、患者が納得した上での合意形成を図りやすくなります。他の病院・医療機関や医師の意見を求める権利である「セカンドオピニオン」について説明することも重要です。

医療行為の危険性も説明する

患者に提案する医療行為の危険性や合併症の発生率など、リスクについても説明することが望ましいです。例えば、以下のような点については、患者が納得できるように分かりやすく説明する必要があります。

  • 発生頻度の高い合併症や副作用について
  • 発生頻度は低いが重篤なリスクについて
  • 重大な障害や死亡につながる可能性
  • 新規医療の場合は未判明のリスク要因
  • 患者個人における個別因子やリスク要因

病院・医療機関における電子同意書は、患者が治療内容に同意したことを示すものです。リスクについても患者が正しく認識していなければ、十分な同意書とはいえません。そのため、危険性を含めて患者に理解を求めることが重要です。

説明時期や説明場所を配慮する

医療行為について患者に説明する時期や場所などについて配慮することも大切です。患者への説明は、一般的に、医療行為を実施する前のできるだけ早い時期に行います。場所については、相談室などの個室を用意して、プライバシーの保護に努めるのが望ましいでしょう。

患者の極めてプライベートな内容について話すため、適切な環境をつくることがポイントです。患者が説明に集中でき、電子同意書の内容を把握しやすくなります。

患者が理解できるように説明する

電子同意書を患者に提示して医療行為について説明するときは、患者が理解できるように説明することが大切です。専門用語はできるだけ使わず平易な表現に努め、必要に応じて模型や図式などを活用するのも効果的とされています。また、患者の意向を尊重し、推奨する医療行為の強要や誘導とならないよう注意が必要です。

電子同意書の実現には『ARTERIA』がおすすめ

電子同意書を導入することで、医療行為に対する患者の同意を電子データで管理できるようになります。その結果、医療従事者と患者双方の負担を減らせることや、他システムとのデータ連携による業務効率化を実現できることが大きなメリットです。

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