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2023.03.17

電子カルテのリプレイス(入れ替え)タイミングは?データ移行方法や選び方も解説

電子カルテのリプレイス(入れ替え)タイミングは?データ移行方法や選び方も解説

電子カルテの「リプレイス(入れ替え)」とは、電子カルテ関連のシステムや機器を、新しい製品に入れ替えることです。

現在、さまざまな電子カルテシステムが登場しているため、より利便性の良い製品を求めてリプレイスを検討する医療機関も増えています。しかし、電子カルテのリプレイスについて「移行に適したタイミング」や「データ移行方法」など、疑問がある方も多いことでしょう。

本記事では、電子カルテをリプレイスすべきタイミングや注意点、データ移行方法、他の院内システムとの連携ポイントなどについて解説します。

電子カルテをリプレイスするタイミングとは?

電子カルテをリプレイスするタイミングは、基本的には以下の3つの時期が適しています。

  • 保守点検のタイミング
  • リース契約期間満了時
  • 患者数が落ち着いている時期

保守点検のタイミング

電子カルテの保守点検を実費で実施する必要がある場合は、そのタイミングでリプレイスするのも有効な選択肢です。ベンダーによって異なりますが、電子カルテ導入から一定期間は、保守点検の実費負担がかからないケースがあります。その時期が過ぎるとコストの負担が大きくなるため、新たなシステムへの乗り換え時期としては最適です。

リース契約期間満了時

電子カルテをリースで導入している場合は、契約期間満了時のタイミングでリプレイスする医療機関も多いです。システムの経年劣化のリスクや機能性を考慮して「乗り換えるメリットが大きい」と判断できる場合は、リース契約満了に合わせてリプレイスするといいでしょう。

患者数が落ち着いている時期

電子カルテをリプレイスするときは、何らかのエラーや不具合が生じる可能性もあります。診療への影響を考慮し、患者数が少ない時期があらかじめ予測できる場合は、そのタイミングで入れ替えるのが無難です。実際にリプレイスするときも、メーカーやベンダーの担当者、院内関係者などと連携を密にとって余裕をもった計画を立案するのがいいでしょう。

電子カルテをリプレイスする際のデータ移行方法

電子カルテをリプレイスする際は、データの移行方法が重要です。基本的には以下の3つのデータ移行方法から選ぶことになります。

  • 古いデータを移行先フォーマットに変換する
  • 新旧両方のシステムを共存させる
  • 旧データを汎用ファイルに変換する

古いデータを移行先フォーマットに変換する

旧システムと新システムのメーカー間で仕様公開を行い、旧システムのデータを抽出する方法で、一般的に「データコンバート」と呼ばれます。この手法は、コンバート費用がかかることや、データを完全に移行できないリスクがある点に注意が必要です。近年では、コンバート機能を標準装備しているシステムも増えているため、事前に仕様を確認しておくといいでしょう。

新旧両方のシステムを共存させる

旧システムと新システムを共存させると、データ移行の必要がありません。両方のシステムを稼働させておけば、必要に応じて旧システムのデータを確認できます。ディスプレイを複数使えば、旧データ・新データを同時に確認できるので便利です。

ただし、この方法では、旧システムを使い続けるので引き続き一定の「保守料」がかかることや、情報の一元管理ができない点に注意が必要です。新システムに完全移行した場合と比べて、利便性や効率は低下します。

旧データを汎用ファイルに変換する

イルに変換してから、新システムにデータをインポートする方法です。データ抽出の完了後は旧システムが不要となるため、前述の「新旧両方のシステムを共存させる」場合のような、旧システムの保守料はかかりません。しかし、膨大な量のデータを変換・インポートする必要があるため、移行作業に時間と手間がかかることに注意が必要です。

電子カルテのリプレイスにかかる費用相場

大病院における電子カルテのリプレイス費用相場は、対象の病院規模、諸条件によって異なりますが、初年度に数千万円から数億円以上の費用が目安となります。なお、パソコン、プリンター、スキャナーなどの周辺機器の入れ替えも必要な場合は、入れ替える機器と台数分のコストが発生します。

リプレイスする電子カルテの選び方

リプレイス先の電子カルテを選ぶ際のポイントとして、主に以下のような観点があります。

  • 必要な機能を備えているか
  • 操作しやすい電子カルテか
  • 既存の院内システムと連携できるか
  • サポート体制は充実しているか
  • 電子カルテ(電子保存)の三原則を満たしているか

必要な機能を備えているか

診療科によって、カルテに記入する項目やその重要度は異なります。そのため、自院の診療科に必要な機能を備えた電子カルテを選ぶことが大切です。電子カルテシステムには主に「どのような診療科にも対応できる汎用タイプ」と「特定の診療科に特化しているタイプ」の2つがあります。

特化型の電子カルテは、診療科ごとの特有の習慣にも対応可能です。ただし、基本的には汎用型のほうが低コストなので、カルテの仕様を確認して問題なければ、汎用型を選ぶほうがコストパフォーマンスが良くなるケースが多いようです。

操作しやすい電子カルテか

電子カルテをリプレイスするときは、医師や事務スタッフ・職員が操作しやすいものを選ぶことが重要です。日常的に操作をする人にとって使い方が分かりにくいシステムを選ぶと、「適切な使い方で定着しない」「患者の満足度が下がる」などの結果につながりかねません。電子カルテシステムによっては無料トライアルを利用できることもあり、導入前に操作性を確認するのがポイントです。

既存の院内システムと連携できるか

電子カルテ以外に自院で導入している他のシステムがある場合は、そのシステムとの連携性を確認することも欠かせません。例えば、Web問診システム、レセプトチェックシステム、診療予約システムなどです。システム同士の連携性が良ければ業務効率の向上が期待できます。電子カルテシステムによっては、同じメーカーやベンダーのシステムとしか連携できないこともあるので注意が必要です。

サポート体制は充実しているか

電子カルテのリプレイス時には、予期せぬトラブルが発生する可能性があります。スムーズな診療の阻害は、病院経営や患者の満足度に直結するため、万一トラブルやシステムダウンが発生した場合でも影響は最小限に抑えたいところです。導入・運用サポート体制が充実しているシステムを選べば、非常時に迅速な対応が受けられます。

電子カルテ(電子保存)の三原則を満たしているか

言うまでもなく、電子カルテを運用する際は、国が示すいわゆる「電子カルテの三原則(真正性・見読性・保存性)」を満たすシステムであることが不可欠です。詳しくは『医療情報システムの安全管理に関するガイドライン』(厚生労働省)にありますが、ガイドラインはワーキンググループの検討進捗によってアップデートされますので、最新情報は厚生労働省ホームページで入手するのがおすすめです。

■最新の検討状況は以下の厚生労働省ホームページで確認できます。
健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報利活用ワーキンググループ|厚生労働省

■2023年11月現在の最新ガイドラインは以下で確認できます。
医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版(令和5年5月)|厚生労働省

電子カルテをリプレイスする際の注意点

電子カルテをリプレイスする際の注意点としては、主に以下の3つのポイントがあります。

  • 現在の電子カルテの契約期間や条件を確認する
  • スムーズなデータ移行が可能か確認する
  • リプレイスタイミングで院内業務改善の課題がないか確認する

現在の電子カルテの契約期間や条件を確認する

現在、使用している電子カルテの契約期間や、途中解約したときの違約金の有無などの条件確認が必要です。契約内容によっては、途中解約で違約金が発生するケースがあります。余計なコストを最小限に抑えたい場合は、契約期間満了時期を想定したリプレイスがおすすめです。

スムーズなデータ移行が可能か確認する

国は「医療DX令和ビジョン2030」で電子カルテの標準化推進を表明していますが、現時点では、電子カルテの規格は標準化されていません。システムによって仕様が異なるため、新旧のデータ移行がスムーズに行えるかを確認しておくことも大切です。データ移行ができない場合は、「新旧システムの共存」「汎用ファイルに変換」などの対処法が必要になります。

■関連記事
「医療DX令和ビジョン2030」とは?3つの骨格のポイントを解説

リプレイスタイミングで院内業務改善の課題がないか確認する

電子カルテのリプレイスタイミングは「院内業務の改善」という観点で絶好の機会です。IT技術は日々進化しているため、既存システムでは解決できなかった課題が、現在のシステムで改善できるケースがあります。

電子カルテだけでなく、連携している他の院内システムも含めた業務上の課題点がないかを確認するのがおすすめです。その上で、総合的な院内システムの整備を検討すれば、効率的な業務改善へとつながるでしょう。

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電子カルテをリプレイスするタイミングは、「保守点検」「リース契約期間満了時」「患者数が少ない時期」などが適しています。システムの選定時は、操作性やサポート体制、データ移行の可否を確認することなどが重要です。

また、電子カルテのリプレイスタイミングは、院内システムの課題解決や業務効率化といった利便性向上を図る絶好の機会です。大病院向け業務効率化システム『ARTERIA』(アルテリア)なら国内全ての電子カルテと連携可能であり、院内文書のペーパーレス化問診システムWeb予約などの機能を備えています。

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