2023.09.07
「Web予約システム(診療予約システム)」は、医療機関の診療予約を、患者が自らインターネットで行えるITシステムです。Web予約システムの導入により、医療機関の受付管理の効率化とスタッフの負担軽減が可能となります。
本記事では、一般的なWeb予約システム(診療予約システム)の概要や導入メリット、各社システムを比較するときのポイントなどについて詳しく解説します。
目次
病院の「Web予約システム(診療予約システム)」は、パソコンやスマートフォンなどを使って、オンラインで病院の診療予約ができるシステムのことです。インターネット環境さえあれば、患者が自分で空いている時間枠を探して、いつでもどこでも診療予約ができるため、非常に便利なシステムです。
また、診療予約に関する受付業務を自動化できるため、院内スタッフの負担軽減にも役立ちます。さらに、患者の待ち時間の短縮や、待合室の混雑が原因の感染症リスクを減らせることも、大きなメリットといえるでしょう。
Web予約システム(診療予約システム)を導入することで、医療機関は以下のようなメリットを得られます。
Web予約システム(診療予約システム)は、患者の待ち時間を短縮できます。Web予約システムでは、医療機関が指定する30分や1時間といった単位に区切って予約を受け付けたり、患者が現在の待ち人数を確認したりできます。つまり、あらかじめWeb予約をしておけば、待ち時間がほとんど発生しないタイミングで、患者が来院できるということです。
病院での待ち時間は患者にとって大きなストレスになり、感染症が流行する季節ではなおさらのことです。自分で決めた診療受付時間に来院すれば、スムーズに医師の診察を受けられることは、患者にとって大きな魅力となります。
患者の待ち時間を減らす工夫については、以下の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
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Web予約システム(診療予約システム)を導入すれば、患者が自ら診療予約できるため、医療機関側で診療人数の見通しを立てやすくなり、深刻度が低い飛び込み診療の削減にも役立ちます。また、電話で患者から「どれくらいの待ち時間ですか?」といった問い合わせが減り、受付業務の負担が軽減することも期待できるでしょう。
Web予約システム(診療予約システム)は、一種のコミュニケーションツールとしても活用できます。例えば、予約画面に「インフルエンザの流行時期が近づいています。ワクチン接種をご検討ください」のようなメッセージを表示すれば、適切な時期に最適な施策を展開することもできます。
また、患者が待ち時間の短縮を実感できると、「待ち時間のストレスがなく通院できる」「これからも利用したい」という気持ちを抱きます。心理的な負担も軽減されることでスムーズな再来院にもつながり、円滑な治療計画の実行にも役立つでしょう。
Web予約システム(診療予約システム)では、医療機関側で予約可能な時間枠の調整ができるため、スケジュール管理が行いやすくなります。例えば、時間帯ごとに何人の患者を受け付けるか決めると、定員に達した時間帯はそれ以上の予約ができません。
また、患者側としても、予約システムで混み具合を確認して、緊急性がない場合には混雑しない時間枠を選ぶため、結果的に診療時間帯を平均化しやすくなります。
これまでは、受付や電話で予約受付の対応をしたりする必要がありました。しかし、予約システムを導入するとすべてがシステム上で完結するので、院内の予約受付業務の負担を軽減できます。その分、ほかの業務にリソースを割けるため、医療サービスの品質向上につながるでしょう。
Web予約システム(診療予約システム)は、電子カルテと連携できるものもあります。診療予約した患者の情報が電子カルテとデジタルデータで連携されると、受付情報をカルテへ転記する手間がなくなり、転記の際のヒューマンエラーも軽減可能です。
電子カルテと院内システムとの連携については、以下の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
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Web予約システム(診療予約システム)にはデメリットもあります。以下の点に着目して詳しく見ていきましょう。
Web予約システム(診療予約システム)の導入には、相応の導入・運用コストがかかります。システムの開発・提供元によってコストは異なり、基本的には機能性が高いほど割高になります。そのため、各種機能の必要・不要を精査することがポイントです。
Web予約システム(診療予約システム)は、基本的に患者自身がいつでも予約をキャンセルできます。そのため、急なキャンセルでスケジュールに空きが出てしまうこともあります。また、そもそも患者が予約のキャンセルをせずに、予約時間に来ないこともあります。そのため、Web予約システムの導入時は、キャンセルを考慮したスケジュール設計を行う必要があります。
一般的に、高齢者層はデジタル操作が苦手な人が多く、Web予約システム(診療予約システム)を使いこなせない可能性があります。そのため、できるだけ直感的に操作できるシステムを選ぶことや、使い方を患者に分かりやすく説明することが大切です。また、従来通り、電話での受付予約といった手段も併存する必要があるでしょう。
Web予約システム(診療予約システム)には、一般的に、大きく分けて以下のような種類があります。
「Web予約型」は、患者がパソコンやスマートフォンから医療機関のWebサイトにアクセスして、用意された項目に患者が自ら情報を入力・選択して診療予約を受け付けるタイプです。基本的な予約機能に加えて、自動音声案内でプッシュボタンを押して予約できる「自動音声電話予約」機能や、待合室に設置したパネルで予約できる「タッチパネル予約」機能などを利用できるシステムもあります。
「アプリ予約型」は、患者がスマートフォンやタブレットにインストールした専用アプリを使って、診療予約を受け付けるタイプです。近年では多くの人がスマートフォンを利用しているため、患者にとっても身近なシステムだといえます。アプリを介して医療機関側から情報発信もできるので、大切な案内や健康医学コンテンツなどを配信することも可能です。
「LINE予約型」は、Webに加えてLINEアプリでも予約できる、もしくはLINEに特化したタイプです。LINEアプリをすでに利用している患者であれば、専用アプリをインストールする必要がなく、患者が医療機関のLINE公式アカウントを「友だち追加」するだけで、LINEのトーク画面から診療予約できる仕組みです。
予約の確認・キャンセル・リマインド通知に加えて、患者とのコミュニケーションもLINEで完結できます。ただし、LINEを利用していない患者もいるため、Web予約型と併用して運用されるのが一般的です。
各社が開発・提供しているWeb予約システム(診療予約システム)を比較・選定する際には、以下のようなポイントで検討するのがおすすめです。
患者が自分に合った方法を選んで診療予約できるように、さまざまな予約方法に対応したシステムを選ぶのがポイントです。先述したように、Webシステムの種類にはWeb予約型・アプリ予約型・LINE予約型などがあり、対応タイプが多いほど患者の選択肢が増えて利便性が向上します。
Web予約システム(診療予約システム)は患者が利用するものなので、患者にとって「使いやすい」ものでないといけません。そのため、特別な説明を受けなくても、人が直感的に使うことができるインターフェイス(操作画面)かどうかが重要です。
また、混雑状況(待ち時間の状況)や予約可能な日時枠などが分かりやすく表示されることも、ユーザビリティを高めるために大切です。患者目線に立って、使いやすい操作画面かどうかや必要な機能を備えているか、実際に操作して確認してみましょう。
Web予約システム(診療予約システム)は患者のプライベートな情報を扱うので、セキュリティ強度が重要です。また、頻繁にシステムトラブルが発生すると医療機関の運営に悪影響が出ます。そのため、システムのセキュリティ対策とトラブル発生時のサポート体制については、あらゆるリスクを想定して事前に確認する必要があります。
診療予約の内容をカルテへ転記する作業は、業務負担の増大やヒューマンエラーの原因です。受付時の患者の情報をデジタルデータで電子カルテと連携できれば、大幅な業務効率化になります。そのため、Web予約システムを導入する際は、電子カルテなどほかの院内システムとスムーズに連携が可能かどうかも大きなポイントです。
電子カルテと連携できる院内システムについては、以下の記事で解説していますのでご覧ください。
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Web予約システム(診療予約システム)は、患者と医療機関の双方にメリットがあるITシステムです。患者視点では、自分の都合の良い空き時間に診療予約ができたり、待ち時間を短縮できたりするなどのメリットがあります。
Web予約システムなら病院業務の効率化システム『ARTERIA』(アルテリア)をご検討ください。アルテリアには、医療機関の診療予約業務を効率化するための機能が備わっています。さらに、問診票や同意書など院内文書のペーパレス化(電子化)なども可能で、医療現場の総合的なデジタル化に役立ちます。
■ARTERIAのWeb予約機能は以下のページでも詳しくご紹介しています。
Web予約機能(病院業務の効率化システムARTERIA)